メインテーマ(My Column)
テーマを絞った随筆(エッセイ)集です
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TBS・ドラマ「砂の器」の放映が終了した。全11話のシリーズ、当HPでは初回放映から随
時話題に取り上げてきた。当初の予想通りに、犯行の動機が原作とは異なっていた。そ
の差異がドラマをつまらなくする要因だったのかもはしれないが、視聴率はパッとしない結
果のようだ。
昨今のテレビ・ドラマはストーリーで勝負するか、ビジュアルで勝負するか、視聴者にとっ
ても賛否は両論である。何もストーリーを重視するのならば、ドラマ化の必要はないし、ア
イドル役者のキャスト起用も必要はない。
今回のドラマ化に合わせて、私は原作本を手に入れて、改めて読破してみた。ストーリ
ーの展開において無視できないのは、やはり犯行の動機である。日本ではあり得ないとさ
れた人種差別がやがて社会的な問題となり、つい昨今に長年越しに行われていた裁判が
結審した。
あれほどまでに世間を騒がせたハンセン病患者の逆転勝訴判決。あれから、どれほど
の月日が経過したというのであろうか。ある地方のホテルがその患者の宿泊を拒否した
事実が、再び問題化して沸き上がったのは数ヶ月前のこと。
最期に、新刊書文末に書かれた筆者(松本清張)の引用文を掲載して、この件に関する
コラムは終了させていただきます。
癩(ハンセン病)という病いは、慢性的な感染症によるもので、治療法の確立した今日に
おいては、完全に癒り、社会復帰できるという認識が一般的になりましたが、それ以前に
はいやし難い遺伝病とされ、社会的に不当に迫害されていました。
この作品は、昔から色濃く残っていたこの病気に対する認識、それがもたらす人種差別
によって阻害された孤独な人物を主人公として、その心の深淵をのぞいた、重く深刻な問
題を含んだ推理小説の傑作です。
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