メインテーマ(My Column)
テーマを絞った随筆(エッセイ)集です
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何か意味深な、訳有りのタイトルかと思いきや、何て事はない。学生時代に覚えた英単
語「orphan(孤児)」の語呂合わせである。
単語の意味だけならまだしも、語呂ごと未だに忘れていないのは、私が王さんの熱烈な
ファンだったからである。
古き良き時代のジャイアンツを思い起こせば、必ず登場するミスターこと長島さん。でも
幼少の頃の私の記憶に彼はいない。そう、打順で3番や5番を打っても当時のジャイアン
ツでは所詮脇役、数字(記録)が全ての野球界にあって、不動の4番に座ることこそ真の
大打者だったからである。
「ホームラン」という野球用語。得点による勝ち負けが決まるスポーツにおいて、ヒト振り
で無条件にホームインできるいわばトランプのババ的な存在。その存在があるからこそ野
球は面白い。
王さんは年間にそのホームランを50本も打ってくれた。テレビを前に、その場面に遭遇
する確率はかなり高い。
例えワンチャンス、一打逆転の場面でも王さんはホームランを狙った。敵の三塁手がセ
カンドベース上を、ショートが1.2塁間を、レフトがセンターを守るといういわば「王シフト」
の体制が取られても王は頑なに引っ張った。王に「送りバント」や「ヒットエンドラン」のサイ
ンを送れる監督やコーチなどいやしないのだからショウがない。また、守備でファーストベ
ースから離れる王さんの足が若干早くても、誰も指摘できなかった。
今後、プロ野球界に王さんのようなバッターはマズ出現しないだろう。ならば、あの時(我
が幼少に)王さんを見れて本当によかった。いや、むしろ王さん本人の打席よりも、野球
の常識を覆す「王シフト」という守備体型を見ることができて良かったと思う。
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