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テーマを絞った随筆(エッセイ)集です
異国で唯一の身分証明・パスポート〜前編〜 2003/09/13
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日本国内に於いて必要な本人確認証明書はいろいろとある。運転免許証、健康保険
証、住民票、戸籍謄本などなど。では、海外で万一の場合、これらが証明として通用する
だろうか。勿論答えはNOである。何故なら、海外でその場に対応する役人たちにとって、
日本語表記の書面では意味が通じないから。増して国際的な犯罪が横行する昨今では、
情報を規格統一して、世界規模で新たな犯罪を阻止しなければなない。よって、海外に赴
く場合は、それなりの証明を国から受けないと出国できない。とはいえ、日本人の場合は
犯罪歴が無くて、手数料さえチャンと払えば、誰でも許可は降りる(つまり、パスポートが発
行される)。国によっては、手数料が年収の数倍だったり、他にもいろいろな理由があっ
て、そう簡単にパスポートは発行されないのが現実。だから、ある種のシンジゲートは偽
造、ねつ造してまで手に入れようと企むのだ。
以上の簡単な条件を満たせば発行される日本のパスポート。これは日本人に生まれ
たからこその恩恵に他ならない。この恩恵を無視して、一生涯海外旅行などに縁のない輩
が多いのだから、「日本人に生まれた甲斐がない」と私に指摘されてもなんら文句の言い
返しようもない。
さて、海外各地で現れる日本人観光客。各国もそんな外貨稼ぎのカモを手荒く歓迎す
るわけがない。そんな国にとって、入国審査の列に並ぶ日本人をむやみに待たせていけ
ないと、特別に割り込みをさせてくれる慣例がある。目印は赤い(えんじ)のパスポート。私
の経験ではほとんどのアジア諸国でこの傾向有りと見ている。割り込みこそなくても、税関
の審査でも、他国の旅行者に比べて通過がスムーズなことが多い。
日本のパスポートの種類は5年モノと10年モノの2種類。これらとえんじ色・紺色との相
関は不明だが、私がこれまで取得した2冊のパスポートは幸運にも、いずれもえんじ色だ
った。入国審査の最後方列で、パスポートを団扇にして顔を扇いでいると、係官が「こちら
へどうぞ」と、無人の審査カウンターを案内してくれる。日本人故の優越感、こんな感じを
味わえるのも、海外に赴くからこそ。〜後編へ続く〜
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