メインテーマ(My Column)
テーマを絞った随筆(エッセイ)集です

小田急2200形の思ひ出〜後編〜 2006/10/15
(前編より)

 電車の構造や年式などを全く知らなかった少年時代。登下校時の仲間やクラスメイトの 間では車両をあだ名で呼んでいました。

 「またメガネが来たよー」
 「メガネならまだマシじゃん。さっきはカツラだったよ」
 「タレメがみたいなー」
 「オレも」

 「メガネ」が2200形。2枚の前面ガラスがメガネそのものだったから。
  「カツラ」は1800形。外見から見る天井部分が黒かったから。
 「タレメ」は当時最新型の9000形。前面ガラスの両目尻部分が垂れ下がっていたから。 他にも、「カイコ(2600形)」や「ブタミン(ロマンスカー3000形)」など、見た目そのままで愛 称をつけてやりました。

 古くてボロクソ言われた2200形ですが、オイラは大好きでした。その理由は乗り心地。
 とにかく揺れるのです。右に左に大きく揺れます。座っている人も、立って吊革につかま っている人も一斉に規則正しく左右に揺さぶられました。縦にも揺れました。椅子のバネ が乗客たちをピョンピョンと跳ね飛ばしてくれました。それらの揺れが、睡魔を誘ってやが て夢心地になるのです。
 座席の高さも非常に低かったです。それでもって奥行きが深くて、分厚い椅子なので、な んか超リラックスできた座り心地でした。
 1800形や4000形と違って、吊掛け式の駆動ではなかったので唸るようなモーター音はあ りませんでしたが、それでも突然直下から鳴り響くエアー・コンプレッサーの銃器のような 響きは、睡眠中の乗客を驚かすには充分でした。
 
 誕生当時の塗装に塗り直されて保存されていますが、その頃の思い出は全くないので やはり白青のカラーの方が懐かしいですね。電車って、色が異なるだけで違う顔になって しまいます。不思議です。




トップへ
戻る
前へ
次へ